筋トレの重量はいつ上げる?回数から判断するダブルプログレッション実践法
「前回より重くしないと成長しない」と考えて、毎回プレートを追加していませんか?
重量を上げることは進歩のひとつですが、毎回必ず重量を増やす必要はありません。
分かりやすい方法のひとつが、重量と回数の2段階で進める「ダブルプログレッション」です。
例えば目標を8〜10回 × 3セットにした場合、
- まず同じ重量で回数を伸ばす
- 3セットすべてが10回に届いたら重量を上げる
- 新しい重量で再び8回付近から回数を伸ばす
という流れです。
ダブルプログレッションとは?
ダブルプログレッションは、最初に回数を増やし、次に重量を増やす方法です。
重量だけを追いかけるより、進歩を細かく確認できます。
例えばベンチプレスを「8〜10回 × 3セット」で行うとします。
| セッション | 重量 | 1セット目 | 2セット目 | 3セット目 | 次回 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 60kg | 10回 | 9回 | 8回 | 60kgを継続 |
| 2 | 60kg | 10回 | 10回 | 9回 | 60kgを継続 |
| 3 | 60kg | 10回 | 10回 | 10回 | 重量アップ |
| 4 | 62.5kg | 8回 | 8回 | 7回 | 62.5kgを継続 |
セッション4で回数が下がっても失敗ではありません。
重量が上がったため、新しいレップレンジの下側から再び積み上げていきます。
なぜこの方法が使いやすいのか
重量を増やすタイミングが曖昧だと、
- まだ早いのに重量を上げる
- フォームが崩れる
- 目標回数を大きく下回る
- また重量を戻す
という流れになりがちです。
逆に「楽になるまでずっと同じ重量」では、いつ上げるべきか判断しにくくなります。
ダブルプログレッションなら、回数という明確な条件を作れます。
日本スポーツ振興センターの資料でも、設定した回数の上限を各セットで達成したら次回の重量を増やす、という非常に近い進め方が紹介されています。
実践手順
STEP 1:レップレンジを決める
最初に「何回できたら合格か」を決めます。
例:
- 6〜8回
- 8〜10回
- 8〜12回
- 10〜15回
どの範囲が最適かは目的、種目、経験によって変わります。
大切なのは、毎回レンジを変えず、しばらく同じルールで比較できるようにすることです。
STEP 2:レンジ内でできる重量を選ぶ
8〜10回が目標なのに、1セット目から5回しかできない重量では重すぎます。
逆に15回以上余裕でできるなら、そのレンジに対しては軽すぎる可能性があります。
最初は「予定したフォームと可動域を保ったまま、レンジ内に入る重量」を選びます。
STEP 3:同じ重量で回数を伸ばす
次のセッションでは、いきなり重量を上げません。
前回が、
- 60kg × 10
- 60kg × 9
- 60kg × 8
なら、
- 60kg × 10
- 60kg × 10
- 60kg × 9
を目指します。
重量は変わっていませんが、総回数は27回から29回に増えています。
これも進歩です。
STEP 4:全セットが上限に届いたら重量を上げる
3セットすべてで10回できたら、次回は重量アップを検討します。
ただし、最後の数回だけフォームが大きく崩れた場合は「達成」と数えない方が比較しやすくなります。
同じフォーム、同じ可動域、似た休憩時間で達成できたかを見ます。
STEP 5:新しい重量では回数が下がってOK
60kg × 10回から62.5kgへ上げれば、8回程度に戻ることがあります。
問題ありません。
そこから再び、
8 → 9 → 10回
と伸ばします。
何kgずつ上げればいい?
「必ず5kg上げる」のような固定ルールは必要ありません。
基本的には、使用している器具で可能な小さな増加幅を使う方が調整しやすくなります。
例えば、
- バーベル:+2.5kg
- ダンベル:次の利用可能な重量
- マシン:次のプレートまたはピン設定
などです。
上半身の小さな種目では、利用できる重量刻みが大きすぎると、一段階上げた瞬間に回数が大きく落ちることがあります。その場合は、回数レンジを広めにしたり、小さな重量増加が可能な器具を使ったりする方法もあります。
ACSMの従来のプログレッション指針では、現在の目標回数を1〜2回上回れるようになったとき、負荷を段階的に増やす考え方が示されています。重要なのは、数字を機械的に守ることではなく、現在の能力に合わせて少しずつ負荷を進めることです。
3セット全部が上限に届かないと上げてはいけない?
絶対ではありません。
プログラムによっては、トップセットだけを基準にしたり、RIRやRPEを使って重量を調整したりします。
ただし、初心者〜中級者がシンプルに管理するなら、
全ワークセットがレンジ上限に到達 → 次回に重量アップ
というルールは分かりやすく、記録もしやすい方法です。
途中で基準を何度も変えるより、まずひとつのルールを数週間続けて反応を見る方が比較できます。
重量を上げない方がいいケース
フォームが大きく崩れた
目標回数に届いても、可動域が短くなったり反動が急に増えたりしたなら、同じ条件での進歩とは言いにくくなります。
毎セット限界まで追い込みすぎている
毎回すべてのセットを限界まで行う必要はありません。
疲労が大きいと、後半セットのパフォーマンスが落ち、次回の比較もしにくくなります。
1回だけ調子が良かった
偶然調子が良かったセッションだけで判断せず、再現できるかを見る方法もあります。
特に大きな重量ジャンプになる種目では慎重に進めましょう。
痛みがある
痛みを無視して「進歩のために重量を上げる」のは別問題です。
鋭い痛みや通常と違う症状がある場合は、その種目を無理に続けず、必要に応じて医療・運動の専門家に相談してください。
記録していないとダブルプログレッションは難しい
この方法では、前回の数字が基準になります。
最低限、
- 種目
- 重量
- 各セットの回数
を残します。
筋トレ記録の付け方で、実際の記録例をまとめています。
IronYouのようなトレーニング記録ツールを使う場合は、同じ種目の前回記録を見ながら「あと1回」を狙えるため、ダブルプログレッションと相性が良い方法です。
重量が伸びなくなったら?
同じ重量で何週間も回数が増えない場合、「気合いが足りない」と決める前に記録を確認します。
見るポイントは、
- 本当に数週間止まっているか
- フォームや可動域が変わっていないか
- セット数が増えすぎていないか
- 休憩時間が短くなっていないか
- 他の種目でも同時にパフォーマンスが落ちていないか
です。
詳しくは筋トレで重量が伸びない原因は?記録から停滞を見分けるチェックリストで解説しています。
よくある質問
毎回重量を上げられなくても大丈夫?
大丈夫です。
同じ重量で回数が増えることも進歩です。トレーニング経験が増えるほど、毎セッション重量を更新し続けるのは難しくなります。
10回できたら必ず重量を上げる?
「10回」があなたの設定したレンジ上限なら候補になります。
ただし、フォーム、可動域、セット数、余力などの条件も確認します。
1セット目だけ10回できた場合は?
シンプルな3セット方式なら、同じ重量でもう一度行い、後半セットも上限に近づける方法が分かりやすいです。
回数ではなくRIRで上げてもいい?
可能です。
ただし、RIRは主観的なので、重量・回数の履歴と組み合わせた方が変化を追いやすくなります。
まとめ
筋トレの重量を上げるタイミングで迷うなら、次のルールから始めてみてください。
- 目標レップレンジを決める
- 同じ重量で回数を伸ばす
- 全ワークセットが上限に届く
- 次回、重量を少し上げる
- 新しい重量で再び回数を伸ばす
重量だけではなく、重量 × 回数 × セットの変化を見ることがポイントです。
「前回より何かひとつ良くなったか」を記録しながら積み重ねれば、重量アップの判断はかなりシンプルになります。
参考資料
- 日本スポーツ振興センター / ハイパフォーマンススポーツセンター「ウェイトコントロールガイドブック」
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/info/pdf/weight%20control_guide%20book.pdf - American College of Sports Medicine. Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19204579/ - American College of Sports Medicine. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults (2026).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41843416/ - Effects of Resistance Training Overload Progression Protocols on Strength and Muscle Mass.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286426/