1RMとは?重量と回数から最大挙上重量を計算する方法
1RM(ワン・レップ・マックス)とは、ある種目を正しいフォームで1回だけ挙げられる最大重量のことです。
例えばベンチプレスで100kgを1回だけ挙げられるなら、その時点でのベンチプレス1RMは100kgです。
ただし、毎回本当の最大重量をテストする必要はありません。
普段のトレーニングで行った、
80kg × 5回
のようなセットから、推定1RM(e1RM)を計算できます。
1RMと推定1RMの違い
1RM
実際に1回だけ成功した最大重量です。
推定1RM(e1RM)
複数回できたセットから、計算式を使って推定した1RMです。
推定値なので、計算結果が「今日必ず挙げられる重量」を保証するわけではありません。
その日の疲労、フォーム、種目への習熟、何回余力を残したかによっても変わります。
それでも、日々のトレーニング記録を同じ指標で比較するには便利です。
Epley式で1RMを計算する
よく使われる推定式のひとつがEpley式です。
推定1RM = 重量 × (1 + 回数 ÷ 30)
例えば80kgを5回できた場合、
80 × (1 + 5 ÷ 30)
= 80 × 1.1667
≈ 93.3kg
となります。
つまり、80kg × 5回というセットから推定される1RMは約93kgです。
計算例
| 実施セット | Epley式の推定1RM |
|---|---|
| 60kg × 5回 | 約70kg |
| 80kg × 5回 | 約93kg |
| 100kg × 3回 | 約110kg |
| 100kg × 5回 | 約117kg |
| 100kg × 8回 | 約127kg |
※すべて推定値です。実際の1RMとは一致しない場合があります。
Brzycki式では数字が少し変わる
1RMの推定式はひとつではありません。
代表的な別の式にBrzycki式があります。
推定1RM = 重量 ÷ (1.0278 - 0.0278 × 回数)
同じ重量・回数を入力しても、Epley式とBrzycki式で結果が少し変わることがあります。
これは異常ではありません。
1RM推定は「測定」ではなく、過去のデータから作られた推定モデルだからです。
どの式を使う場合でも、トレーニングの進歩を見る目的なら、毎回同じ式で比較することが重要です。
何回のセットから計算するのがいい?
一般的に、回数が増えるほど推定の不確実性も大きくなります。
研究では、複数回のテストから1RMを予測できる一方、種目や個人によって「同じ%1RMで何回できるか」にかなり差があることが示されています。
特に20回、30回のような高回数セットを「1RM」に変換すると、結果は参考値として見るべきです。
実用上は、比較的低〜中回数の質の高いセットを使う方が扱いやすくなります。
IronYouで推定1RMの履歴を見る場合も、同じ種目・似たフォーム・似た努力度のセット同士を比べると変化を追いやすくなります。
限界までやらないと計算できない?
必ずしも1RM推定のために限界まで行う必要はありません。
ただし、10回できたところで止めても「実際はあと5回できた」なら、10回という情報だけで計算した推定1RMは、その日の最大能力を低く見積もる可能性があります。
逆に、フォームが崩れた反復まで数えると比較が不安定になります。
日々の記録では、
- 同じフォーム
- 同じ可動域
- 似たRIR/RPE
で行ったセットを比較するのが理想です。
1RMを使うメリット
1. 重量と回数が違うセットを比較できる
前回:
80kg × 8回
今回:
85kg × 6回
どちらが強いのか、重量だけでは分かりにくいですよね。
推定1RMに変換すると、ひとつの指標で比較できます。
2. 長期的な筋力の変化を見やすい
毎回本当の1RMテストをしなくても、普段のセットから筋力の傾向を追えます。
例えば、
- 1月:推定1RM 90kg
- 3月:推定1RM 97kg
- 5月:推定1RM 102kg
なら、トレーニング重量や回数の組み合わせが変わっても、長期的な進歩が見えます。
3. トレーニング重量を決める参考になる
プログラムによっては「1RMの○%」で重量を決めます。
ただし、%1RMと最大反復回数の関係には個人差があります。
「80%なら全員必ず8回」のように考えるのではなく、実際のセット記録も合わせて調整しましょう。
RMとは?
RMはRepetition Maximumの略です。
- 1RM:1回できる最大重量
- 5RM:5回できる最大重量
- 10RM:10回できる最大重量
という意味です。
「10RM = 1RMの何%」という換算表もよく使われますが、実際に何回できるかは種目や個人差の影響を受けます。
換算表はスタート地点として使い、実際のトレーニング記録を優先しましょう。
本当の1RMを測る必要はある?
目的によります。
パワーリフティングなど最大筋力そのものが重要な場合は、実際の1RMテストに意味があります。
一方、一般的な筋トレで「成長しているか知りたい」だけなら、普段のセットから計算する推定1RMでも十分役立ちます。
最大重量への挑戦は疲労も大きく、技術も必要です。
無理に1RMテストを頻繁に行う必要はありません。
1RMを記録するときの注意点
種目を分ける
ベンチプレスの1RMとインクラインベンチプレスの1RMは別物です。
フォームを統一する
可動域が変われば数字も変わります。
マシンの数字を別マシンと直接比較しない
マシンは機種によって構造や抵抗が異なります。
1回の推定値で判断しない
1回だけ高い数字が出ても、長期トレンドの方が重要です。
BIG3の1RMを比較するとき
ベンチプレス、スクワット、デッドリフトはまとめてBIG3と呼ばれます。
この3種目では「何kg上がれば強い?」という比較もよく行われます。
ただし、絶対重量だけでは体格差を考慮できません。
BIG3はどれくらい上がれば強い?体重比で見る筋力レベルの目安では、体重を考慮した比較の考え方と、その限界を解説しています。
よくある質問
1RMとMAXは同じ?
筋トレの会話では、ほぼ同じ意味で使われることがあります。
「ベンチMAX 100kg」は、通常「ベンチプレスの1RMが100kg」という意味です。
5回できた重量から計算しても正確?
実用的な推定はできますが、完全には一致しません。
推定式、種目、個人差、余力によって結果は変わります。
推定1RMが下がったら筋力が落ちた?
1回の低下だけでは判断できません。
疲労や体調でも変わるため、数週間の傾向を見ます。
何回までなら計算できる?
式に数字を入力すること自体はできますが、高回数ほど誤差が大きくなりやすいため、トレーニング判断では低〜中回数のセットを優先するのがおすすめです。
まとめ
1RMは、その種目を1回だけ挙げられる最大重量です。
実際にMAXへ挑戦しなくても、重量と回数から推定1RMを計算できます。
Epley式なら、
推定1RM = 重量 × (1 + 回数 ÷ 30)
です。
重要なのは「計算結果を絶対値として信じる」ことではありません。
同じ方法で記録を続け、
先月の自分より推定1RMが伸びているか
を見るために使うと、トレーニングの進歩が分かりやすくなります。
参考資料
- 全日本スキー連盟「トレーニングマニュアル」— %1RMと反復回数の関係
https://www.ski-japan.or.jp/wp-content/uploads/AL_Training_Manual_2022-23.pdf - Developing Accurate Repetition Prediction Equations for Trained Older Adults with Osteopenia — 複数の1RM推定式を比較
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11435939/ - Prediction of one repetition maximum strength from multiple repetition maximum testing and anthropometry.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16937972/ - Maximal Number of Repetitions at Percentages of the One Repetition Maximum: A Meta-Regression and Moderator Analysis.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37792272/